火曜日の思索メモ

思ったこと、考えたことの記録です。

「将来の納税者を育成する」という思想のない国

どの本だったか思い出せないのだけど、石井光太さんの本の中で

「教育の目的って何でしょう?」

 という問いに対して、福祉施設の職員の方が

「税金を納められる大人に育てることです」

 と答えていて、あれは今考えても良い返しだったな、と思ってます。

 「税金を納められる大人」ということは、税金を納められるだけの収入がある、ということですからね。

 働いていても、低収入だと税額控除の対象となるから納税出来ないのですよね、

 福祉施設の職員なら、そういう人達を沢山見てきたわけで。

 だから収入を得られる仕事があって、その仕事からは税金を納められる程度の報酬を得られるので、自活できる。

 その自活が「健康で文化的な最低限度の生活」をクリア出来るかどうかはまた別ものだけど、まずは最低ラインの目標として「税金を納められる大人を目指す」

(誤解する人は、いないと思いますが、これは「税金を納められない状態の人は、社会的に見て大人と遇するに値しないということでは『ない』」ですよ、念の為。

あくまで教育の目標設定としての話です)

 

 なんで、こんなことをつらつらたら書いたかというと長州事件の判決で、福岡高裁熊本県知事も納税者の育成に興味ないのだな、と思ったからです。

少なくとも将来の税収の増減にあまり興味ないですよねえ。

育成中の看護学生の就学を妨害して、祖父母を養う為に働けと要求しているのだから。

 

国や県の要求に従うとなると専門職への道を断念せざるを得ないわけで。

となると収入が減るから、当然所得税も住民税も減りますよね。

税は収入に応じて課税されるわけだし。

 

看護師はハードワークだけど、専門職だし。職能組合が、労務環境を守る為にがっちり動くので有名なところだから、就業後数年経ったら、充分祖父母を養える大黒柱になるのじゃないかな。

所得が増えれば、当然所得税も住民税も増える。

なのに、それを待つよりも、今すぐ祖父母を養う為に働かせたいから、学校を辞めざるを得ない方向に持っていきたいのですよね?

どう考えたって、将来の税収が減る方向に持っていきたいとしか思えないじゃない。

 

いや、ほんとこの件についての国や県の対応って、こんな短絡的な発想で動いていれば少子化にもなるし、国も貧しくなるよなあ、と納得するばかりですね。

 

鳥山明先生の死が証明した文化の力

 鳥山明先生の訃報に際し

「『失われた30年』と言われているけれど、唯一世界を舞台に成長できた分野がアニメとマンガとゲームなんだよね」

togetter.com

「この分野の日本の強さって『国が違うもの同士の共通言語として日本語が使われる』ということからも分かる」

 という言葉を見かけて、そういえばマンガって地方からの人材獲得に熱心な業界だから、教育格差、地方格差の大きいこの国で(共通テストの都道府県別平均点全国ランキングの上位が軒並み二大都市圏で、色々なことが読み取れると話題になっていましたよね)数少ない才能と努力だけで道が開ける業界なんですよね。もちろん他にも環境要因はあるでしょうけど、他の業界に比べては少ない

togetter.com

 アニメやゲームについては、どうなのかよく知らないけれど、漫画については「北海道にマンガ図書館を!」というシンポジウムの中でパネリストさん達が

「各県ごとに、その県出身の漫画家さん達の原画が観られる図書館があればいい」

 という発言をしていた時に

「その地方にいるから描ける作品というのはあるんですよ。これは出版社の方から聞いた話ですが、出張編集部で九州に行った時

 『こんな凄い作品を描ける子がいたんだ!』と驚愕したそうです。もちろん投稿は随時受け付けているのですが、現地に行って出張編集部を開くと『凄い!凄い!』と思う子が何人もやってくると。

そういう現地に行かないと分かることもあるんです」

 というお話をお聞きしました。能登の震災に対して

「過疎地域に対して税金を投入する必要があるのか?」

 という声が震災後、早々に出てきたこの国で、地方にいることが弱みではなく強みになる職種ってどのくらいあるのでしょうね?

jbpress.ismedia.jp

 世界配信もされた「鋼の錬金術師」の作者の荒川弘さんは「人よりも牛の方が多い」「地域住民、皆顔見知り」という地域の出身で、自らの農業体験も踏まえた作品も発表してますけどね。(「百姓貴族」海外でも人気ですものね)

 

 経済は、この30年弱体化し続けていると言われているけれど、文化は世界を相手にファンを広げ続けている。

 この国の文化戦略について面白いなあと思うことがあるのですが、霞が関で国を動かしている人達が「この国の国益の為に~」とやっても成功するとは限らないけれど(クールジャパン戦略の屍累々に限らず、国が旗を振って成功した事例って思い浮かばないのですよね。戦前でも成功事例ってあったかな?)

その反面、日本人が自分達が楽しむ為に「これ好き!楽しい!」をやっていると、それを観ていた異邦人の方から「自分達も好き!楽しい!」とやってくるのですよね。

そのあたりは浮世絵の時代から変わらないなあと思うのですが、「これが好き!」でやって来ると異邦人であろうと構わず

「貴方達もこれが好きなの?いいよね~!」

 と共通言語で盛り上がる。

「こっちが好きなら、これも知ってる?これも面白いよ!」

「え?何?知らない、知らない。教えて、教えて!」

 とファンを増やしていく。サブカルだろうが、メインカルチャーだろうが、この傾向って変わっていないと思うのですよね。

 その文化に対して強い愛を持っている人達が、その面白さを語ると、それまで面白さを知らなかった人達が引き込まれていく。

 これ「文化は金になる」が先に立って、文化を手段をしてしまうと駄目なのですよ。文化を手段として国益に繋げようとするのなら、エカテリーナ女帝並みに見識があって、豪勢に金を遣える胆力がないと。

 日本で文化で国を変えたえらい人って足利義政さんくらいだけど、あの人は将軍としての評価は低いし、守護大名や側近達が

「どうぞ、どうぞ。政治に口を挟まないのだったら好きなだけお好きなことをなさってください」

 をやっただけのような気がするのですよね。どちらかというと豊臣秀吉の方がスタンダードなのではないかと。

豊臣秀吉千利休を許さなかったように、この国の政治家は文化を自分の支配下におきたがるし、文化が自分の支配下におけないことを許せない。

 文化を手段として使いたがるけど、文化は手段として使うには、どうすればいいのかも分からない。

 結果的に文化が金になることと、金を得る事が目的で文化がその手段にしか過ぎないというのは違いますからね。

 その違いが分かっている業界は伸びて、違いが分からないところは没落していったのじゃないかなあ。

 企業文化というくらいだから、企業の風土も文化の中に入りますからね。

鳥山明先生の訃報から見える出版社の差

 鳥山明先生の訃報に対して

「一週間前に亡くなって、御葬儀も終わって、お身内が故人との別れを惜しむ時間をちゃんと取れて、元編集者や著名漫画家からのコメントを取ったうえで少年ジャンプ公式が発表するまで死去の情報が流れなかったって、凄い秘密保持」

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「それだけ鳥山先生に人徳があり、鳥山先生の周りには信頼できる人物しかいなかった、ということなのだけど、海外メディアが一斉に速報で伝えたBigニュース、下手したら病院関係者から情報が漏れたっておかしくない。

3月4日に『SAND LAND』プロジェクトの発表会が行われている。この時点で、鳥山先生は亡くなっている。それを気取らさせず、公式発表の時まで鳥山先生の死を隠し通した集英社凄い」

「公式発表に載せるコメントを貰う為に訃報を伝えた人が、

 同時期デビューの親友でもある漫画家とゲームクリエイター

 子供の頃から熱烈なファンで『鳥山先生のような漫画家になりたい!』という夢を叶えたジャンプの看板作家。

 という誰から見ても『この人に事前に伝えるのは仕方ないし、絶対にここからは事前に情報が漏れないだろう』と納得できる人。

 その人達以外には現在進行形で仕事をしていたアニメやゲーム関連産業の人達や、『ドラゴンボール』で主役の孫悟空の声をあてていた野沢雅子さんでさえ8日に知ったという話が出ている」

 という徹底した情報管理。

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www.shonenjump.com

 比べるのも失礼だけど、「セクシー田中さん」の時の小学館の対応と比較すると全身全霊で作家をお守りします、という集英社のバックアップ体制の優秀さが見えますね。

 「セクシー田中さん」後の対応で、全てが後手後手で「ここでお茶を濁してこのままなかったことにしたい」という本音が見え見えの日テレに対して、

「セクシー田中さん」原作者急死を受け、ドラマ制作方針を説明したテレビ東京が 「原作者の意向は最大限尊重するというのが基本」

togetter.com

 と記者会見で答えたことが称賛されていたけれど、こういうところに、それぞれの組織の姿勢や社内風土が出てきますね。

日テレ、「セクシー田中さん」と同じチーフプロデューサーのドラマの制作中止を発表。(こちらも原作は小学館のマンガ)

「たーたん」制作中止が発表されましたね。「たーたん」が「セクシー田中さん」と同じ人がチーフプロデューサーを務める製作チームで製作中だという話が漏れた時

「だから日テレも小学館もだんまりを貫いて、この話をなかったことにしたいのね」

 と、納得されてましたものね。小学館の第一コミック編集局がコメントを出した時も「ホッとした」という言葉はあっても、コメント内容については厳しい意見が多かったですよね。

「何故、ここで出てくる言葉が『寂しい』なの?守れなかったことを悔いているなら、出てくる言葉は守れなかった自分に対する怒りじゃない?」

 という疑問はコメント発表してすぐに出てましたものね。ビジネス文書を書き慣れている人達は、あのコメントで火消しが出来ると思ったのでしょうが、読み手は発信者が編集者という言葉のプロであることを忘れていないうえ、物語を読み慣れている人達(その中には物語を作っている側の人も含む)だから、その場面とその言葉は合っているか?その言葉は、どんな感情から生まれているのか?ということを自然と考えてしまう人が多数いるのですよね。

 だから「たーたん」製作中であることが外部に漏れてから日テレと小学館が調査チームを作ったと発表しても、視線が厳しいままだったと思うのですね。

 世の中からの自分達を見る視線を日テレ側も感じていると思うから「たーたん」製作中止を決めたのでしょうが、同じチーフプロデューサー、原作が同じ小学館のマンガをのドラマを日テレも小学館も記者会見をしない状態で放映出来ると思ったのかな?

 原作を知っていると「映像化にあたって原作を改変した」と伝えられても「そりゃ、そうだろう」と思う人が大半でしょうが(それぐらい余程の力量がないと映像化するには難しい作品なので。力量がないとエセ若紫か、安っぽいヒューマンドラマになりそう)、改変した事柄の中に

「原作では売れない女優志望者が歩道橋から飛び降りようとするシーンをドラマでは『女優』ではなく『漫画家』に飛び降りるに改変した」

  があったと伝えられているのですよね。最終稿では女優に戻されているそうなので真偽は不明ですが、少なくともそういう噂が出ている。

 そして、この噂が事実でないのなら日テレは記者会見を開いてハッキリ否定しないと制作を中止しても悪印象は残り続けるでしょうね。演出やキャストの関係で原作を改変するのは仕方ないと思う人も、飛び降りようとした人を女優から漫画家に変える必然性を見出せないし、「たーたん」の脚本にそう書かれていたのが、芦名さんが亡くなる前だとしても同じチーフプロデューサーを抱えていた仕事ですから、ドラマにあたっての約束を守るよう訴え続けていた原作者への当てつけにしか思えないでしょうしね。

 

ドラマ制作側と原作者側の言葉で見えてくるもの。

「セクシー田中さん」は、何故ドラマ化にあたっての約束が守られなかったのか?ということについて、ドラマのプロデューサー側と原作者側からそれぞれの経験と経験を元にした推測が語られていますね。

president.jp

元プロデューサー側の記事を読んだ後だと、

原作者がメディアミックスに対して意見を言うと「うるさい原作者だ」とか「神経質だ」って言われます。

出版社も「一応伝えるだけ伝えますけど、難しいですよ」って言います。だんだん自分が痛いだけじゃないかって思ってきます。

 と、原作者が感じることは今回に限らず繰り返し起こってきたし、それが動画配信によりドラマがTV局の収益に大きな影響を与えるようになったことで、更にその傾向が強まってきた、ということが分かりますね。

smart-flash.jp

TV局は映像ビジネスで生き残る為に、配信での二次利用をにらんだドラマ多産を求め、原作通りの映像化をやっていては期限や予算にはまらないという発想に陥りやすく、

ドラマ制作の現場は自分達の要望を抵抗せずに受け入れてくれる「素直な」原作者を必要とする。

今回の芦原氏の「ドラマ化するなら『必ずマンガに忠実に』」や「マンガに忠実でない場合はしっかりと加筆修正をさせていただく」という要望や、「原作者が用意したあらすじやセリフは原則変更しないでいただきたい」という主張は、最初の段階で現場の制作者たちに「厄介だなぁ」という印象を与えてしまった可能性があると推察する。

しかし、原作者にとっては映像化にあたり、自分の作品がただの素材として別物に変えられるのは納得できるものではない。
別物に変えられることを了承しなければならないのなら、映像化そのものがポシャっても構わないと考える原作者は多い。
けれど自分達の都合に振り回されている映像制作側は、それが見えていない。あるいは見えていても自分達の都合優先で無視をする。

mainichi.jp

ドラマ配信により、ドラマ制作現場が予算と時間に追われる傾向は強まっている。おそらく芦名さんの過去作品が映像化された頃よりも。

その為、過去の映像化経験により、自作のドラマ化が連載中の作品に悪影響を与えないように原作者が最初に求めた条件や取り決めが守られなかった。

発端は、脚本家が仕事に関わることを誰でも閲覧できるSNSに投稿したことでしょうが、単純に「『原作者と脚本家』の問題にしてはいけない」「『原作を変えることは是か非か』という論点にシフトすることは、意味がない」という意見が出てこない方が不思議でしょう。

www.nikkansports.com

この佐藤秀峰さんの文章は、はっきりと出版社もテレビ局も、原作者の意向を無視し、原作者の立場を守ろうとしていないという痛切な事実が綴られています。

その経済的な要求と脚本家の立場をイコールにしてはいけないと思います。問題は、原作者と脚本家ではなく、出版社とテレビ局です。

と、いう鴻上さんの指摘はその通りなのだけど、メディアは構造的な問題に触れるのを避けたがっていますものね

TV局もそうだけど、新聞もTV局との資本提携が薄い毎日は構造的な問題にも触れるけど提携関係が強い新聞社は「原作者と脚本家の対立」「原作改竄」に的を絞って、今回の件にコメントを出した脚本家や小説家のもとへは取材が殺到してますが、出版社やTV局の方へは行かないのですね。

今回の件で、まともなコメントを発信続けていた野木亜希子さんが

私に様々な取材依頼が来てますが、語れるのは脚本家視点の一般論(直近12年の経験と知見)だけです。

脚本家よりも、現役のプロデューサーに取材するといいですよ。出版社とのやりとり含め全貌を語れるのはプロデューサーだけです。いまどき原作ありをやったことがないプロデューサーはいない。

https://www.crank-in.net/news/140940/1

 と、発信するのも当然でしょうね。

狂犬病ワクチン反対者への巨大なブーメラン

 

「感想で物言う人にデータ突きつけてあなたの言ってることは違うよというと、それには振れずに話題をずらしてくる事象に名前つけたい。」

 という言葉が、シェアされてきたのだけれど、それを言っていたのが永江一石氏だったので失笑しました。

 人は自分の姿は見えないの良い例ですね。

 

法定義務を無視して、データを突きつけられも、繰り返し自分の感情優先した主張をしているこの方が言ってもねえ。

それとも、この言葉自虐なんですかねえ。

 

 

togetter.com

この方が狂犬病予防接種不要論を主張していたのと同時期に、愛知で故国で犬に噛まれて感染していた人が日本で発症していたのですが。

togetter.com

ネットのデマを信じたい人はいるでしょうけど、故国で感染して日本で発症した方はお亡くなりになっていますからね。

発症したら、まず助からない病気だからお気の毒だけど当然のことなのですが。

togetter.com

まあ、永江氏は国内での狂犬病発症で日本も油断が出来ないと証明された後も、繰り返し同じ主張をしてましたから、永江氏の言う通り

「感想で物言う人にデータ突きつけてあなたの言ってることは違うよ」

 と突き付けても無駄なのでしょう。ご自身がそれを証明してますから。

togetter.com

だから私達に出来ることは、「何故そういう法があるのか?」をきちんと考えられる頭がある人に向けて情報発信していくしかないのでしょうね。

togetter.com

だって普通に考えられる頭がある人なら、狂犬病の怖さを伝えれば「何故、予防接種が分かるか分かるでしょうしね」

togetter.com

 

 

 

 

高速道路を運転する時に注意すること

渋滞中にトラックが追突し、挟まれ大破した軽自動車の男女2人死亡 した事故について

高速道路で渋滞が起きた時、どうすればこういう事態に巻き込まれないのか?

その為のコツがシェアされていますね。

togetter.com

この技術、ほんと大事。トラックの運転手は、車内の荷物が落ちたのでよそ見をしていて、前を見た時には間に合わず追突してしまったようだけど、その僅かなよそ見の結果がこの惨事ですものね。

トラックとトラックの間に挟まれた軽自動車は、厚さ約30cmまで押しつぶされるから、乗っていた人がどういう状態だったか想像できますものね。

これ、「軽自動車だから普通車より脆い」ということではなく普通車だったら厚さ約30cmが厚さ約50cmなっていたくらいの違いしかないでしょう。

だって、相手はトラックですもの。

渋滞の最後尾にならない運転技術はマジで大事。命を左右する。

ポイントは前方に渋滞を見つけたらハザードをつけながら早めにスピードを落として後続車を1〜2台引き連れる状態にしてから停止する。

渋滞最後尾が電光掲示板等で分かってるときは最後尾付近でわざと軽く減速して自分の後ろにプチ渋滞作るんや。

自分の後ろに壁作るイメージ。それだけでとりあえず自分は守られる

教習所で習わない高速道路で大切なこと

・なるべく大型の間に入らない

・渋滞で停止するとき前方車と車間を少なくとも1台分以上空ける

・前方の渋滞を確認したら停止する10秒前くらいからハザードを炊く

・減速中バックミラーも確認して、後続車がハザードを炊いてるか、速度を落としているかを確認

 

【教訓】

安全な車間距離を保つ

大型車と大型車の間に入らない

・もし

前後挟まれた時は車線変更する

 こういうことを知っていて、少し用心して対処するだけで、助かる命がいくつもあるのでしょうね。