それにしてもワーカーさん達から見た中村先生を観た後だと、中村先生が亡くなってからペシャワール会の活動を手伝うようになったお嬢さんが、インタビューで
「私、父が生きていた間は父のしていたことをあまりよく知らなくて。父が亡くなってから、父がしていたことを知って。ど、どうしよう!こんな凄いことをしていたの、お父さん!私の知っているお父さんじゃない!」
「父とは別の中村哲という人がしたことという気がする」
と語っていたのがよく分かりますね。中村先生、アフガニスタンを放っておけなくて一年の三分の一くらいしか家族と過ごせなかったそうだけど、家庭人として幸せだったのね。
田辺聖子さんの名言で
「家庭の夫に英雄はいない。そういう家庭が幸福である」
というのがあるけれど、お嬢さんの言葉を聞く限り中村先生の家庭もそういう感じだったのでしょうね。
男の人は家庭内でも英雄でいたいかもしれないけれど、そういう家庭が幸せであるとは言えませんしね。「海賊と呼ばれた男」のモデルとなった男性の娘さんが書いた本があったけれど、家庭でも父や夫でなく英雄のままの人がいる家庭は子供にとってはきついねえ、という感想しかなかったですね。
スーパーのライフキャリア・レインボーでがないけれど、それぞれの場には、それぞれの場にあった役割があって、どこでも同じ役割を崩さない人というのは、やっぱりどこかで歪みを生み出すのでしょうね。