火曜日の思索メモ

思ったこと、考えたことの記録です。

ヤングケアラーという形の虐待

これも虐待の一種だと思うけど、とくに女の子だと「家族の為に」「親孝行」という美名の元に当然のことだと思う人もいるのでしょうね。

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しかし、母親には

「お父さんは海外、私も日中働いているのよ。介護をできるのはあなたしかいないでしょう」

と言われたといいます。

その時の気持ち、母親のことについて、アオイさんはこう打ち明けてくれました。
アオイさん
「私の家は祖父母が親のような存在で、母親は仕事ばかりで育児も家事もほとんどしていませんでした。

介護についても無理解で実際、なにもしてくれませんでした。腹も立ちましたが、親がお金を稼いでくれていたので、私がするしかないのかなと」

これ、虐待だよねと思うのは親の言葉が、まんま仕事を理由に妻に介護を押しつけている夫の言葉そのものなんですよね。

これをやられて家庭崩壊や熟年離婚につながった話なんて、ゴロゴロあるもので介護は妻一人に背負わせるのではなく、夫婦で力を合わせて行うものというのが常識になりつつあるのに、親が自分より力関係で弱い子供に向かって言っているのだものなあ。

自民党のー憲法24条の改正草案、あれ普段与党支持の人も「あれが通るなら支持をやめる」と言うくらい問題視されているんですよねえ。

社会保障費の増大もあって、福祉を家庭に押しつけたがる政治家や学者は多いけれど、虐待問題に関わってきた人達は

「虐待される子供が逃げること禁ずる法を成立させる気か」

と怒り狂っていたなあ。

まあ、憲法24条を改正させたがっていた人は虐待に苦しむ子供の姿なんて目に入らないでしょうけどね。(´-ω-`)

こうした生活の中でも、アオイさんが諦めたくなかったものがありました。大学への進学です。

祖父母の介護は、いつかは終わる。介護を理由に大学への進学を諦めたら、自分の中には何も残らないような気がしたからです。

だから、どんなに介護が大変でも、家事が忙しくても、祖父や祖母の枕元で、時間を見つけては問題を解きました。

その結果、念願の第1志望の国立大学に合格することができました。「うれしい」久しぶりに心の底から喜びました。

しかし、合格を伝えた両親から言われたのは、「残念だけど、行けないのわかってるよね」ということば。

覚悟はしていましたが、両親は大学の合格を喜んではくれませんでした。

第1志望の大学は、県外にあったため、両親たちは祖父母の介護を理由に反対したといいます。

進学したいと何度も訴えましたが、最後まで両親は認めてくれませんでした。

結局、アオイさんはこの大学への進学を諦めました。自宅に届いた合格証書は泣きながらシュレッダーにかけたといいます。

 虐待というと暴力や性虐待など身体に与える虐待を連想する人は多いけど、虐待問題に取り組んでいる人達からは経済虐待についても問題視する声があがっているのですよね。

これ経済虐待ということが、どういうことなのか理解しにくい人にとっては格好のいい事例ですよね。

アオイさんが、祖父母の介護をする中で、唯一救われたと感じた時があります。


高校3年生の終わりごろ、はいかいして保護された祖母を迎えに警察署に行った時のことです。

アオイさんから状況を聞いた警察官は「ひとりで見るなんて無理だよ、つらいに決まっているよ」と言って、相談窓口を紹介してくれたのです。

このとき初めて、介護保険制度を使ったサービスを受けられることを知りました。

これ、家族は「介護の為に希望大学への進学を諦めるのは当然」という対応なのに、他人は置かれた境遇に同情して支援を受けられる方法を教えてくれたというのが、この手の問題の典型パターンで嫌になりますね。

それにしても百歩譲って、仕事があるので介護を子供に頼らざるをえなかったにせよ

子どもの負担が減るよう介護サービスの利用法を調べることくらい親ならできたと思うけれど、それをしなかったあたり、この親にとって育児も介護もアウトソーシングして人に任せるもので、育児は妻の両親が、介護は娘がするものだから、自分の時間を割いてまですることではないという姿勢が見えてしまうのですよね。

介護をしていた時は、つらいことが多かったといいますが、大変なことばかりではなかったといいます。唯一自分の居場所を感じられた瞬間でもあったといいます。
アオイさん
「食事を作ったり、洗濯したりすると、まれに祖母から『ありがとう』って言われるんです。誰にも理解してもらえない中で、そのことばが唯一の支えでした。ただ、今は私がしてきたことは『家のお手伝い』ではなく、介護という『労働』だったんだと理解しています」

この両親にとっては金銭の発生する労働だけが、労働だったのでしょうけど、客観的に見るとこれ労働力の搾取ですよねえ。

かつては、専業主婦一人に介護の担い手を押しつけていたことが、専業主婦が減った結果、子供が担い手を求められるという、家庭内での立場の弱い方から、より弱い方へ負担が押しつけられる嫌な構図は変わっていないのですね。(´-ω-`)

アオイさんのように家族の介護をする子どもたちは「ヤングケアラー」と呼ばれ、ようやく国や自治体が支援に動き出しています。

しかし、専門家は「ヤングケアラー」の問題が表面化してこなかった理由のひとつに、アオイさんのようなケースがあると指摘しています。

濱島教授
「アオイさんのように共働きの両親がいて一定の収入があると、そもそも支援の対象だと認識されず、問題が表面化しづらい。本人たちからすると、目の前の大事な家族の命を大切にすることは、人としては当然のことです。

ただ、子どもたちの人生への影響は本当に大きいものです。学校の中にスクールソーシャルワーカーを配置するなど相談窓口を設けるといった仕組みを考えていく必要があると思います」

 この彼女の場合は、祖父母が元気だった間は「子ども」をやれていた時代があったけれど、子ども時代を持つことすら出来なかった人の例もあるからなあ。

togetter.com

国も拙いと思ったのか、ようやく調査を始めたけれどどこまで対処できるのかなあ。子ども庁が成立すれば、包括的に子どもに関する問題を扱うようになる筈だから、こういうことについても、きちんと対処できるようになるのかしら?