火曜日の思索メモ

思ったこと、考えたことの記録です。

子どもは、本当に辛いことは隠す

子供の虐待発覚が難しいのは「子供は隠す」からなんですね。

これは日本の貧困が見えにくいのと同じ理由だと思うけれど、子供にもプライドがありますから、家が貧しいとか、自分が親から愛されていないとか思いたくないんですよ。(厄介なことに虐待されている親の中には、自分が虐待されて育った人がいるので傍から見ると虐待行為でも本人は愛情からの躾だと思っている場合もある)

では、周囲からの気づきは?というとオレンジリボン運動は効果なし、とはっきり言っていましたね。

虐待通報ダイヤル「189」は0.02%した利用しなかったそうです。

ナチスの時代から密告制度というのは成功しないんですよ」

 と、今さんがおっしゃっていましたが、よく知っている近所の人を通報するのは心理的な抵抗が大きいのですよね。

 虐待する親が家の外では、人当たりのいい社会人ということもあるし、実際は虐待なんてしていなかったのに、虐待ダイヤルに通報されて

「私は、周りからそんな風に見られていたの?」

 とショックを受けて悩む人もいる。(そういえばナチスの密告制度は「気に入らない奴は通報する」系の無駄情報が多くて成功しなかったんじゃなかったかな?)

 本当に虐待かどうかの通報判断でさえ難しいのに、もし判断が間違いでなかったとしても通報がしたことがばれて報復されたらどうしよう、とご近所トラブルを怖れて通報しない人もいる。

 子供の虐待発覚で一番多いのは警察。小児科医や塾の先生が気づくというパターンも結構あるそうです。

 塾の先生が気づくのに、何故学校の先生が気づかないかというと、虐待されていることが分かるとそれを理由に虐待されている子供を虐める子が出てくるので子供は必死になって隠すそうです。(子供はそういうところは凄く残酷)

 今回のご自分の体験を読み上げた虐待サバイバーの方の中に一人だけ虐待が発覚したことで児童相談所に保護された方がいましたが、その方が虐待されていると周囲に分かったのが高3の時。

 学校で授業中に眠ったことを咎められて、耐え切れず

「先生は何も分かっていない!」

 と泣きながら事情をぶちまけたからなんですね。家で虐待を受けていたので、夜眠ることが出来ず、昼間学校で起きていられないことは、それまでもあったのですが理由を口にしなかったので、周囲の人達はずっと気づかなかったのです。

 耐えに耐えていた我慢が出来なくなって、ようやく言えたのが高校三年生。虐待が発覚したことで児童相談所に保護されることになったけれど、保護されるまでのことはよく覚えていないとおっしゃってました。

 今さんは役に立たないオレンジリボン運動に費用を割くよりも、学校で子供の権利や虐待について教えた方がいい、というご意見でしたね。

 現行法でも子供が自分を虐待する親から裁判で親権を取りあげることは可能だそうです。ところが、そういう方法をあることを子供は知らないからやらない。

 私達は学校で自分の権利について学んでこなかった。どんな権利があるか知らなから、その権利を行使できない。

 これは虐待案件ではないですが、母子家庭で困窮に耐えかねた親が息子に「殺して欲しい」と懇願して、子供が親を殺してしまった事件がありましたね。

 母親殺しになってしまった息子は「生活保護」という制度があることを知らなかったそうです。制度があっても使い方を知らなければ利用できない。

 今回のサバイバーの方に、47歳の時にアダルドチャイルドについての本を読んで、初めて自分のされていたことが虐待だと気づいた方がおりました。

 とくに性虐待だと恥ずかしいと思って人に言わないから、自分のされていることが虐待だと気づきにくいんですね。

「普通」がどういうことかを知らない人は、自分の置かれている状態を「普通」だと思ってしまう。

 長年「異常」を「普通」だと思っていた人はメンタルを病む確率が高いので、虐待をされて育った人が精神疾患を抱える例は珍しくありません。

 人生の早い段階で自分が置かれている状態が「異常」だと気づけたら、「普通」を知っている人に助けを求めることも出来る。

 虐待から逃れた後もに長く残る後遺症に苦しめられなくてすむ。今さんが

「今の教育は奴隷を求める人にとって都合が悪いことは教えられていません」

 と言っていたけれど権利教育の薄さについては、別の場所でも語られているのですよね。(どこで誰が語ったか、すぐには思い出せないのですが、そのことで生じる問題についても語られていたような覚えがあります)

 まあ、この国は権利教育どころか性教育でさえ、純潔教育をやりたい議員の横やりで後退した例がありますからねえ。

「誕生学」の取り入れ方を見ると分かりやすいけど、必要なことよりも教えたい人が多いことの方が学校に取り入れやすい傾向はあるかもしれませんねえ。

「誕生学」なんて、精神医学の臨床現場から「百害あって一利なし」という批判があがっていても、あれだけ取り入れられていますものね。

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