火曜日の思索メモ

思ったこと、考えたことの記録です。

「教師のバトン」が見せた意識のギャップ

「萩生田文科相が目指す『令和の教師像』とは?」というインタビュー記事が流れてきたけれど、その前に複数の人が書いた「教師のバトン」炎上記事についての解説記事を読んでいたから、ここまで危機感がないのも凄いなと思いました。

www.fnn.jp

「教師のバトン」について

「当初は『教師は大変だけどやりがいのある仕事だね』という気持ちを教職を目指す若い人たちに感じてもらえば」

って、教師の本音を大爆発させて環境改善の為に世間の認識を変える為じゃなかったのね。

 

「目指すは令和の教師像」はいいのだけれど、上ばかり見て足元がどうなっているのかよく見ないと高転びにすっ転ぶけれど大丈夫なのかしら?

虐待に関する本で「虐待に関する勉強会に参加した政治家の言葉で、政治家はどれだけ虐待について無知なのかと唖然とした」という言葉があったけれど、無知なのは虐待についてだけではないのでしょうね。

なんというか、意識だけは高い現場については無知な経営者の言葉を聞いているようで、とても怖い。

だって、3月中に「教師のバトン」についてこういう解説記事が出てるんだもの。

そのうえで、これかあ。

news.yahoo.co.jp

news.yahoo.co.jp

これらの記事が出る前から「教師のバトン」について悲壮な声がどんどん纏められていたんですよねえ。

教育実習1年になる?無給で?

 

教員なのに教材研究する時間もないのはきつかった…。辞める数年前から「働き方改革」とか言いはじめたけれど、蓋を開けたら早く学校から出されるだけで業務内容や量は変わらないので、結局持ち帰ってすることになるだけの「形だけ改革」だった。

事態はもっと深刻で、根深い。

 

一昨年度に開催された諮問会議の時点で、 「教員の労働環境に課題があるから調査を」から 「教員の時間外勤務を予算に換算すると約9,000億円になります」からの 「変形労働時間制で時間外勤務をなかったことに」

こんなことにさえならなければ、#教師のバトン も違った結果になったでしょうね…。

 

キャリアパスポートだのプログラミング教育だの英語や道徳とか仕事わんさか盛り込んでくるのに 減った仕事と言えば座高とぎょう虫検査ぐらいなんだけど

 

小学校教員の競争率、過去最低の2.7倍、電通三菱電機もあるけど日本一のブラック企業は間違いなく学校です。

月100時間超の残業は当たり前、残業代も基本給の4%が教員調整額として支払われるだけで実質サービス残業です、従業員80万人、こんな会社日本にありません

 

「先生ってブラックなんでしょ?」 「先生大変そう、ちゃんと寝てね」 「そんなにいい大学出てるのに、なんで先生になったの?」

全て高校生に言われた言葉です。 新採の年は活動日の多い部活の顧問を押し付けられ、およそ100連勤、一日の睡眠時間は3時間ほど、大きな病気を2つした。


部活動保護者による署名運動 (活動日増やせ、顧問変えろなど) SNS上でのバッシング そして同僚の自死 全て新採から3年以内に起きた出来事。

辛うじて今も続けられているのは、教科指導が好きだからですかね。残念ながら後輩や生徒に積極的にはお勧めできない仕事ですね。。

 

togetter.com

前から、教師の過重労働については言われていたから現場のヒアリングの為か、と思っていたけど、どうもそうじゃないみたいですね。

「教師のバトン」に関するツイート、生々しいまでの現場の声が出ているので、労務環境の改善には、もの凄く役に立つと思うけど、大臣の反応を見ると単なる予想外の反応だったのかな?

こういうギャップって、いったいどこから生まれたのでしょう?

「時給換算するとヤバイ」と言われるくらい、教師のやりがい搾取については前から言われているしなあ。

新卒で教師になる人達に宛てたこのメッセージなんて、こんなに先生達が疲れ切っている状態で、教えられる子供達は大丈夫か不安になるし。

togetter.com

新卒で教員になる人へ。 介護福祉士などは勤続10年の人は「特別処遇改善」という制度で賃金アップします。10年ごとに永年勤続表彰を行っている企業も多くあります。

教員はというと、30時間の免許更新講習の費用約5万円を自腹で払って仕事を続けるか辞めるかの選択を迫られます。

 

教師を続ける人には罰金があるのですよ。罰金を払うのがいやで転職した。

 

私はこのバトンを投げました。薬がないと眠れず、電車にも乗れなくなり、体を壊して数少ない休みの日は通院に当てる。

教師を辞めて3ヶ月経ったけど、一昨日は「明日までに授業準備と採点をしないといけない」と焦って泣く夢を見た。こんな人を不幸にするバトンは繋がない方がいい。

 

基礎教育が死ぬのはマジで国にとって致命的なのにね…。教育に人的リソースが裂けなくなっても、向学意欲のある子供だけまともな教育を受けれれば良いなんてのは、「実利のある研究に投資してりゃ基礎研究に金払う必要なんかないだろ!」という意見と同じくらい浅はか。

 

教職そのものは素晴らしい仕事。 でもね、現実は、心身を病むほどの長時間労働、異常な業務量、パワハラ横行、残業代なし、部活動顧問の押し付け、非正規雇用の増加。公立も私立もね。 業務量を減らせ。正規雇用を増やせ。

 

"教師のバトン"...が 地獄絵図に 文科省は狙ったのか狙いが外れたのか... こんな現場の惨状を敢えて世間に知らしめて予算を勝ち取る寸法なのだろうか?

教師になる人いなくなる...

 

しかし、これだけ悲痛な声があがっていても、この状況を改善する為に必要な予算の増額を文科省が求めても、財務省は首を縦には振らないだろうなあ、と想像出来てしまうところが怖いなあ。

相変わらず、財務省は緊縮路線をやりたがっていますものね。