火曜日の思索メモ

思ったこと、考えたことの記録です。

広報の大切さ

帰省しているので、朝食の時間に家族と一緒に朝ドラを見ているのだけれど、国立科学博物館クラウドファンティングの成功に対して

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クラウドファンディングが成功したことは、喜ばしいことだけど成功したことで『博物館や美術館は興味ある人だけが維持すればいい』で更に予算が削減されてクラファンありきで予算が組まれるようになったりしないか?」

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国立科学博物館だから、あっという間にクラウドファンディングを達成できたけど、地方の小さな博物館がクラウドファンディングしても、おそらく100万も集まらない。でも科学博物館のクラファンが成功したことで『費用が足りないならクラファンすれば?』と言われることになる」

「博物館は、教育・研究施設施設だから博物館法第二十六条により利益を出してはいけないと定められている。ところが博物館を「展示ば」や「イベント施設」としか見ていなくて、売上増を求める人達は、博物館の本分が資料収集と保存にあることを理解していない。

 理解していないから、全国の博物館は、本分である資料の収集と保存に回す費用が足りなくて悲鳴をあげている。本分あっての展示。収集と保存がガタガタの状態で、どうして人を呼べる展示が出来ると思うのか?」

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と、国立科学博物館クラウドファンディング成功自体は喜ばしい。けれど単純に「良かったね」という話じゃ無いよね。問題や課題は山積みだよね、という言葉が溢れている時に、金にならない研究に一生を捧げた人を主人公にした朝ドラを見ると「広報って大事だよな〜」 と思いますね。

 

「金にならない」=「価値がない」ではないのだけれど、わりとこれを混同する人は多いので

「金にはならない仕事だけど、世の中にとっては素晴らしい価値がある仕事もある」

 ということを世の中の人に伝えるには、今期の朝ドラってもの凄く効果をあげているのではないでしょうか。

 

 朝ドラ効果というのは馬鹿にできなくて。萩尾望都さんとご両親との確執は有名な話で(まあ、あれだけ両親との確執の影響が作品に反映されていれば読者も気づくわな)萩尾さんは長年ご両親からの

「そんなくだらない仕事は辞めて、別の仕事につきなさい」

 という言葉に悩まされてきたのだけれど、萩尾さんが少女漫画家として初めて紫綬褒章を受賞した後も態度を変えなかったご両親にある時変化が訪れます。お母様からの電話に身構えた萩尾さんに

「あのね、お母さんはずっと思い違いしてた。そのことをあなたに謝ろうと思って電話したの。ごめんなさい、あなたのお仕事はとても大変なことだったのね。それをくだらないことと言って本当に申し訳なかった」

 とお母様が謝ったのです。国から勲章を貰っても変わらなかったお母様の変化に萩尾さん驚愕。

「いったいどうしたの、お母さん⁉︎」

 するとお母様

「あのね、朝ドラで『ゲゲゲの女房』というのをやっているでしょう。お母さん、毎朝あれを観てるのよ。あれを観るまで分からなかったけど、漫画家っていうのはとても大変な仕事なのね。

 あなたは、そんな大変な仕事を何年もやってきたのに、お母さんはずっと『くだらない仕事』って言ってきたんだなあ。申し訳なかったなあ、と思って謝りたくなったの」

 萩尾さん思わず心の中で

「水木先生ありがとうございます!朝ドラのおかげで親との関係が好転するとは思いませんでした!」

 と水木しげるさんと奥様に手を合わせたそうですが、国からの勲章より朝ドラの方が役に立つとは普通思わないよね。お父様は何も言ってこなかったそうですが、お母様が自分の仕事を認めてくれるようになったおかげで萩尾さんは、生きるのが随分楽になったようだし。やっぱり身内に理解者がいるのといないのとでは楽さが違うのでしょうね。

 

 普通の人って、自分の身近にない仕事のことはよく分かっていないから(学者や漫画家に限らず、保育や介護に対する的外れの政策の連続なんかもいい例ですよね。あれ「政策を立てている人達が保育や介護をどういう仕事なのかをよく理解していない」ということがもろに表れているし)

 ドラマにしろ漫画にしろ、様々な職業の人が描かれるフィクションが多いことは良いことでしょうね。